サイネージモニターを直してみる

  • 2026年4月22日
  • 2026年4月22日
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京都タワー

こんにちは、カトーです。

先日、仕事の関係で京都へ行ってきました。
名古屋や大阪、さらにその先まで足を運ぶことや九州地方の会社様と取引はあるのですが、意外と京都はあまりご縁がなく、前回行ったのも数年前にインフラ関係工事で伺った程度でした。

今回は少しだけ時間に余裕があったので、せっかくならと思い京都タワーに登ってみました。
人生で初めて登ったのですが、高すぎず低すぎず、「おお、ちょうどいい高さだな」という感じで、なかなか満足度の高い展望でした。

……と、観光っぽい話はここまでにして。

タワー内でサイネージ用のモニターを見かけたときに、ふと
「そういえば、社内にも壊れた小さめのモニターがあったな?」
ということを思い出しました。

というわけで、戻ってから実際に直してみました。

50インチや75インチクラスになると、サイズ的にもコスト的にも、修理せずそのまま廃棄になることが多いのですが、32インチくらいだと「まだ直して使える場面があるかもしれない」と思って、なんとなく保管していたのです。

大きすぎると置き場所にも困りますし、壊れているのに存在感だけは一人前です。
その点、32インチくらいだと「まあ、ひとまず置いておくか」がギリギリ許されるサイズ感でもあります。

結果として、こういう“そのうち使うかもしれない枠”の機材が、たまにちゃんと役に立つことがあります。
普段はソフトウェアやシステム側の対応が中心ですが、たまにはこうしてハード寄りのことを触るのも面白いものです。

京都タワーに登って、景色を見て、サイネージを見て、最後は社内のモニター修理を思い出す。
我ながら、視点が完全に職業病だなと思いますが……。

壊れた小さい32インチモニター シャープ 32V型  PN-Y326

症状としては、まず本体の中で何かが外れているような「カラカラ音」がしていました。
さらに、電源を入れても画面は映らず、バックライトも
点いたり消えたりで非常に落ち着きがありません。

機械としてはかなり不穏です。
人間でいえば、「返事はあるけど立ち上がれない、しかも時々目だけ開く」みたいな状態でしょうか。なかなか心配になります。

こういう場合、単純な接触不良や内部で外れた部品、あるいは電源周りの不調など、いくつか原因が考えられます。
特に「カラカラ音」がしている時点で、少なくとも何かが本来あるべき場所にいない可能性が高く、映像が出ない症状とあわせて考えると、なかなか素直には動いてくれなさそうです。

とはいえ、こうなると逆に少しやる気が出てきます。
ただ映らないだけならまだしも、「中で音がする」というのは、機械の側からかなり分かりやすくヒントを出してくれているとも言えます。

もちろん、開けてみた結果
「なるほど、これは買い替えたほうが早いですね」
となる可能性も十分あるのですが、まずは中を確認してみることにしました。

分解して確認してみると、電源ユニットや液晶側のコネクターに接触不良が見られました。
そこで、いったん各コネクターをつなぎ直し、あわせてコンデンサに膨らみなどの異常がないかを確認しつつ、通電状態もチェックしていきます。

……と、ここまで書くと「じゃあ自分でもやってみようかな」と思う方が出るかもしれませんが、そこは少し待ってください。

この手の作業は、安易に真似をすると危険です。
コンセントを抜いたあとでも、基板上のコンデンサには高電圧が残っている場合があり、感電のリスクがあります。
しかも液晶パネルは非常に繊細で、無理に分解すると簡単に破損しますし、機種によっては有害物質を含む部材が使われていることもあります。

さらに、メーカー保証期間内の製品であっても、一度分解してしまえば、ほとんどの場合は保証対象外になります。
つまり、下手をすると「直らない・危ない・保証も消える」の三重コンボです。なかなか強いです。

そのため、この記事はあくまで
「こういうこともあるのか」
程度に読んでいただくのが安全かと思います。

……で、注意書きはしっかり書いたので、こちらは早速、感電しないよう十分気をつけながら仮組みし、パソコンにつないで動作を見てみます。

この瞬間は毎回ちょっと緊張します。
無事に映れば拍手、映らなければ再び分解大会の開幕です。


無事、移りました。

しかし、ここで安心とはいきませんでした。
本体の中からは相変わらずカラカラと嫌な音がしています。

さらに表示を確認すると、バックライトのLEDも場所によって明るさにムラがあり、明るいところと暗いところが出ています。
映ればよし、とはさすがに言えない状態です。

このままだと「とりあえず映るけれど、どう見ても調子が悪いモニター」が完成してしまいます。
それは修理というより、問題の先送りです。

というわけで、さすがにこれではまずいと判断し、さらに分解を進めることにしました。
ここまで来ると、修理というより“異音の正体を追う捜査”です。

機械の修理では、とりあえず電源が入った段階で少し安心してしまいがちですが、
こういうときほど油断するとろくなことがありません。
むしろ「まだ何か隠してますよね?」という気持ちで見たほうが、だいたい当たります。

実はこの時点で、うすうす気がついていました。
この液晶、側面を固定しているはずのネジ頭が見当たらないのです。

最初は、国産製品ですし、どこかにメンテナンス用の隠しポイントでもあるのだろう?きっと分解しやすいように、何かテクニカルな構造になっているのでは?などと、やや前向きに考えていました。

しかし、あちこち確認していくうちに、少しずつ別の可能性に気づき始めます。

……あれ、これ、
親切設計なのではなく、そもそも“あまり開ける前提ではない作り”なのでは?
と。

修理をしていると、ときどきあります。
「なるほど、よく考えられた構造だな」と思っていたものが、
実際には「いや、そこは触らせる気がないだけでした」というパターンです。

この時点で、モニターとの静かな心理戦が始まっていました。
こちらは「開くはずだ」と思っている。
向こうは「いや、開けるな」と言っている。
だんだん、そんな構図になってきます。

結論から言うと、この液晶は周囲をぐるりと一周、薄い鉄板かアルミ板のような部材で覆い、その上から接着剤と両面テープで固定する構造になっていました。

つまり、ネジが見当たらなかったのは、
「うまく隠されていた」のではなく、
そもそもネジで開ける構造ではなかったということです。

ここまで来ると、もうメンテナンス性がどうこうという話ではなく、
「開けるなら覚悟してどうぞ」という設計思想すら感じます。

当然ながら、剥がす段階でその薄い鉄板だかアルミだかは、かなり曲がります。
というより、きれいに外すのはなかなか厳しく、こちらが丁寧にやっているつもりでも、向こうは一切遠慮なく曲がっていきます。

さらに、基板まわりについても一部は接着が前提の仕様になっており、
「分解して点検する」よりは、
「組み立て工程で固定して、そのまま使い切る」ことを重視した作りに見えました。

もし本気でこの手の機種を分解・修理するのであれば、
ヒートガンなどで温めながら、接着を少しずつ弱めて慎重に剥がしていくのが前提になるのかもしれません。

ただ、そこまで来ると、もう気軽な修理ではありません。
工具も手間も必要ですし、下手をすると修理ではなく“破壊を丁寧に進める作業”になってしまいます。

このあたりを見ると、32インチくらいなら直して再利用できるかも……と思っていた気持ちも、
途中からだんだん
「なるほど、これは新品が売れるわけだ」
という、たいへん現実的な感想に変わっていきます。


このメンテを考えた部分と、メンテさせない仕様の組み合わせがなんともサイネージ感がすごいです。多分、どこかのVizio, Philips, RCAやらの部品キメラのような気もしますが、
基盤はシャープオリジナルのようです。液晶のLD32DUEに合わせたなにかあるのでしょうか……ありそうな気もします。液晶ユニットとなっているのでしょうね。
しかしサイネージはこういう作りが多いように思います。


そして、あのカラカラ音の正体ですが、原因は液晶のバックライトまわりにある光を拡散するためのレンズが外れていたことでした。

このレンズ、よく見ると3点の接着剤で固定されている構造になっており、どうやら経年や熱の影響で剥がれてしまったようです。
つまり、本体の中でカラカラ鳴っていたのは、外れたレンズが転がっていた音だったわけです。

しかも厄介なのは、1個だけではなく、ほかも同じ条件で劣化している可能性が高く、結局のところ、このモニターは光拡散レンズを全部付け直す前提で考えたほうがよさそうです。

要するに、ちょっと接触不良を直して終わり、みたいな軽い話ではなく、
実際にはバックライト側のレンズ固定を全数やり直す作業に近い状態でした。

映らない、光にムラがある、中でカラカラ音がする。
その原因をたどっていった結果、最後に出てきたのがこのレンズ剥がれというわけでした。

外れてしまったレンズは、ひとつずつ丁寧に接着剤で貼り付けていきます。

言葉にすると簡単ですが、実際はなかなか地道な作業です。
しかも最近は老眼の進行もあって、こういう細かい作業になると、むしろメガネを外したほうが見やすいという、なんとも複雑な状態です。

というわけで、メガネを外し、近づいて、確認して、少しずらして、また貼る。
そんな具合に、ちまちまと作業を進めていきます。

もはや修理というより、
中年の視力と集中力を試される耐久戦です。

とはいえ、この手の作業は雑にやると後で明るさムラや再脱落の原因にもなりかねません。
地味ではありますが、結局はひとつずつ確実に戻していくしかありません。

こうして、モニター修理はいつの間にか
「機械との戦い」から
「小さなレンズと老眼との戦い」
へとステージが移っていくのでした。

さらに厄介なのは、周囲が薄い鉄板のような部材で覆われていることです。
しかも部分的にバリもあり、作業中に指をざっくりやってしまいました。

こういう作業は機器だけでなく、こちらの手にもダメージが来るので油断できません。
修理しているつもりが、途中から「まず自分の補修が必要では?」という気分になります。

特にこの手の薄い金属部材は、見た目以上に鋭く、少し気を抜くだけで簡単に手を持っていかれます。
そのため、今後こうした作業を行う際は、手袋の使用も含めて、より注意して進めたいところです。

そんなこんなで、一応、無事に直りました。

……と書いておきながら恐縮ですが、
動作確認時の写真は見事に撮り忘れました。
修理に集中すると、だいたいこういう大事なところが抜けます。

とはいえ、動作としてはしっかり復旧しており、
表示の問題も解消し、無事に実用できる状態まで戻りました。

今回あらためて感じたのは、
32インチ程度のモニターでも、構造によっては思った以上に手間がかかること、
そして「壊れた原因」にたどり着くまでが案外長いということです。

簡単に直るかと思えば意外と深く、
もう無理かと思えば、地道な作業で復活することもある。
このあたりが、機器修理の難しさであり、面白さでもあります。

とりあえず今回は、
モニターより先にこちらが壊れなくてよかった、というのが率直な感想です。

直してみて思うこと

私たちは業務としてモニター機器の修理を専門にしているわけではありません。
どちらかといえば、毎回本体ごと交換することが多く、私たちの主戦場は中身、つまりソフトウェア側です。

とはいえ、「32インチモニターの修理を仕事として請けた場合、いくらくらいかかるのですか?」と聞かれれば、手に入りやすい部品の交換であれば、おおよそ2万〜3万円ほど。
一方、液晶パネルの交換や電源ユニットの修理となると、10万〜30万円、場合によってはそれ以上と答えると思います。

しかしサイネージ用途のモニターは、機器そのものだけでなく「設置されている場所」がなかなか曲者だからです。高所だったり、壁面にしっかり組み込まれていたりすると、交換や撤去・再設置の作業費用もそれなりにかかります。
つまり、修理費だけを見て「高い・安い」とは判断しづらい面があります。

ただ、交換しやすい場所に設置された一般的な32インチ液晶モニターであれば話は別です。
サイネージ特有の特殊な設置条件がない場合、2026年4月22日時点では2万円台で購入できる製品がかなり多く、探せば2万円を切るものも珍しくありません。

こうなると、「直すべきか、買い替えるべきか」は、なかなか悩ましい問題です。
修理費を見積もった瞬間、新品モニターの価格が無言でこちらを見つめてくる。しかも結構まっすぐな目で見てくる。
このあたり、現場あるあるではないでしょうか。

それでも、だからといって簡単に諦めるのは少し悔しいところでもあります。
壊れたからすぐ交換、ではなく、まずは「直せないか?」と考えてみる。
そうした姿勢は、単なるコストの話にとどまらず、機器への理解を深めたり、知見や経験を蓄積したりする意味でも、決して無駄ではありません。

もちろん、毎回うまくいくとは限りません。
むしろ、あれこれ調べて試した末に、「これは買ったほうが早いですね」という、たいへん現実的な結論に着地することもあります。
それでも懲りずに、これからもできる限り、機器は“直すチャレンジ”を続けていきたいところです。

……と真面目に書きましたが、ただ分解して中を見てみたかっただけとは内緒です。

 

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