こんにちはカトーです。
2025年も始まり会社も今年で11年目に突入しますので、引き続き気合を入れようと頑張っております。ちなみに年末年始はずっと事務所で仕事や勉強をしつつ、またYoutube撮影をしつつお酒飲んでました。
それはそうとして、業務で欠かせないWindowsServerについてここ数年でクラウドのAzure ADやら名前が変わってMicrosoft Entra IDやら何がなんだかわからないという意見も多く聞きます。弊社でも数年前からこの勉強会を開催してますが、ここで一体何なのか?という観点から初心者に優しく解説しながら、勉強をしてみたいと思います。
またこちらの記事は主にこれから企業向けSEなります。趣味で自宅サーバで……という方は向かない記事です。まぁたまに趣味でWindowsSeverゴリゴリ触りたいという人もいますが。……という訳で第1回は概要をざっくりと気をつけたいライセンスになります。
ちなみに過去は勉強会はこちら……もう5年前になるのですね。ああ、コロナ禍前ですね。
そもそもWindowsSeverとはなにか?
先に結論から書くと企業向けの管理サーバでその機能が集中しているということです。主な役割は以下になります。
役割 | 説明 | 例 |
---|---|---|
Active Directory | ユーザーの管理、認証、権限設定などを一元管理するサービス | 社員のログイン管理、権限設定 |
ファイルサーバー | ファイルを共有するためのサーバー | 会社の共通フォルダの管理 |
Webサーバー (IIS) | Webサイトを公開するサーバー | 社内ポータルサイトの運用 |
DNSサーバー | ドメイン名とIPアドレスを管理する | example.comをIPアドレスに変換 |
DHCPサーバー | IPアドレスを自動的に割り当てる | ネットワーク端末のIP管理 |
リモートデスクトップ | 遠隔からサーバーに接続して操作する | 在宅勤務時のサーバー操作 |
私達はLinuxのLPICトレーニング・パートナーやっているぐらいなので、個人的にがっつりコバルトあたりからLinux派なのですが、随分昔にWindowsSeverのNT※あたりに触ったときにこの製品が全くわからない状態でした。
多くの企業が利用しているのはWindowsパソコンを集中管理できるからというふうに覚えておきましょう。
Windows Serverのメリット
- Active Directoryによる集中管理
- ユーザー、グループ、端末の権限を一元管理できる。
- 社員がどのPCにログインしても同じ環境で利用できる。
- 安定性とセキュリティ
- 企業向けに安定した稼働を提供し、サイバー攻撃にも強い設計。
- 例えば、ファイアウォール、BitLocker(暗号化)、Windows Defenderなどが標準搭載。
- リモート管理が簡単
- 遠隔地からでもリモートデスクトップを使ってサーバーに接続し管理可能。
Windows Serverの種類(エディション)
まぁここまでなんとなく分かると思いますが、次に初心者に一番難解にさせるのはそのライセンス形態ではないでしょうか?Windows Serverには、利用規模や用途に応じていくつかのエディションがあります
Windows Serverは、組織の規模や仮想化、データセンターの要件に応じて、主に以下のエディションが提供されています。
エディション名 | 主な用途 | 特徴 | 価格 (参考) |
---|---|---|---|
Standard | 物理環境または小規模な仮想化環境向け | – コア ベースのライセンスモデル – Windows Server CAL (クライアント アクセス ライセンス) が必要 |
$1,176 |
Datacenter | 高度に仮想化されたデータセンターやクラウド環境向け | – コア ベースのライセンスモデル – Windows Server CAL が必要 |
$6,771 |
注: 価格は米ドルでの参考価格です。
また最新の Windows Server 2025 では、以下のエディションが提供されています。
エディション名 | 主な用途 | 特徴 |
---|---|---|
Standard | スタンドアロン サーバー向け | – 計画的なダウンタイムのために、スタンドアロン ノード間で VM をライブ マイグレーション可能 – 計画外のダウンタイムにクラスタリングが必要な場合は、Datacenter エディションを推奨 |
Datacenter | 高度に仮想化された環境向け | – 無制限の仮想マシンを運用可能 – クラスタリング機能をサポート |
Datacenter: Azure Edition | Azure 環境向け | – Azure によってアクティブ化され、KMS ホストとしては構成不可 – デスクトップ エクスペリエンス搭載サーバーとしてインストール可能 – Azure Arc 対応サービスとして使用可能 |
もうこの時点で注意点というか初心者には難解な部分が多いです。それはコア ベースのライセンスモデルとCALについてです。
MicrosoftのWindows Serverのライセンスは、コアベース(Core-based)ライセンスモデルというのが採用されています。従来の「サーバー1台につきライセンス1つ」という形から、CPUの物理コア数に基づいて課金される仕組みに変わりました。普通のサーバーは、マルチコアCPUが一般的で、Microsoftは、サーバーの処理能力に応じた公平な課金をするために、CPUのコア数を基準にライセンスを提供しています。
この時点でOSSな人はゾクゾクしてくると思いますが、簡単にルールをまとめると、
コアベースライセンスの基本ルール
※2025年1月7日 頑張って調べましたが、間違っていたらお気軽にご連絡を。
ルール①:最低16コア分のライセンスが必要
- 1台のサーバーに対して、最低でも16コア分のライセンスを購入する必要があります。
ルール②:物理コアの数に基づいて課金
- サーバーに搭載されている物理コアの数に応じて、ライセンスを購入します。
- 例えば:
- 8コアCPU × 2つのCPU = 16コア → 16コアライセンスが必要
- 16コアCPU × 2つのCPU = 32コア → 32コアライセンスが必要
ルール③:2コア単位でライセンスを購入
- 2コアパックで提供されており、購入時は2コア単位で買い増しが必要です。
コアベースライセンスの計算方法
例1:1CPU、8コアのサーバーの場合
項目 | 数値 |
---|---|
CPUの数 | 1個 |
1つのCPUのコア数 | 8コア |
必要なライセンス数 | 最低16コア分のライセンス |
この場合、実際には8コアしか使っていなくても、16コア分のライセンスが必要です。
例2:2CPU、16コアのサーバーの場合
項目 | 数値 |
---|---|
CPUの数 | 2個 |
1つのCPUのコア数 | 16コア |
必要なライセンス数 | 32コア分のライセンス |
この場合、32コア分のライセンスが必要になります。
StandardとDatacenterエディションの違い
項目 | Standard | Datacenter |
---|---|---|
仮想マシンの数 | 2台まで | 無制限 |
ストレージレプリカ | 最大2TBのボリューム | 無制限 |
ライセンス価格 | 安価 | 高価 |
ライセンスの価格例(参考)
エディション名 | 価格(2コア分) | 最小購入単位 |
---|---|---|
Standard | 約$100~$120 | 16コア分 |
Datacenter | 約$500~$600 | 16コア分 |
実際の価格は、リセラーや契約条件によって異なります。
Windows Serverのコアベースライセンスのポイント
- サーバー1台につき最低16コア分のライセンスが必要
- ライセンスは2コア単位で購入
- 物理コアの数に基づいて課金
- 仮想化を多用する場合はDatacenterエディションが有利
SE的に気をつけること
ここまで諸々書きましたが、WindowsServerはライセンスを気をつけろというのは、何となくわかればいいのかなと思います。そこで気をつける点はCALではないでしょうか?CALとはClient Access Licenseの略で、Windows Serverにアクセスするユーザーやデバイスに必要なライセンスのことです。Windows Serverを導入する場合、サーバーライセンスだけでは不十分で、サーバーに接続するクライアント(ユーザーまたはデバイス)ごとにCALが必要です。簡単に言うと、「サーバーを使う権利」をユーザーやデバイスに与えるライセンスです。
Microsoftは、CALを主に以下の2種類提供しています
CALの種類 | 概要 | 用途の例 |
---|---|---|
ユーザーCAL | 1人のユーザーに対して割り当てる | 複数のデバイスを使う社員向け |
デバイスCAL | 1つのデバイス(PC、タブレットなど)に割り当てる | 共有PCを使う環境向け |
そしてWindows Serverを使う際、通常のCALに加えて、リモートデスクトップ機能を利用する場合にはRDS CAL(Remote Desktop Services CAL)が必要です。
RDS CALが必要なシーン
シーン | CALのみでOK | RDS CALが必要 |
---|---|---|
ファイル共有のためにサーバーに接続 | ○ | ✕ |
Active Directoryで認証 | ○ | ✕ |
リモートデスクトップでサーバーに接続 | ✕ | ○ |
サーバー上のアプリを遠隔操作 | ✕ | ○ |
さらにRDS CALも通常のCALと同様に、ユーザー単位とデバイス単位の2種類があります。
種類 | 概要 | おすすめの環境 |
---|---|---|
ユーザーRDS CAL | 1人のユーザーが複数のデバイスからRDSに接続できる | リモートワークが多い場合 |
デバイスRDS CAL | 1台のデバイスが複数のユーザーによってRDSに接続される | 共有PCが多い場合 |
第1回 今から見直すWindowsServer入門のまとめ
技術的な部分に目を向けがちですが、このWindowsServerの肝?としては導入までにライセンスなどをしっかり把握するのが前提となると思います。なぜこんなことを書くかというと実は個人的に過去のユーザーCALで見積もり機器を搬入したら、ソフトウェアベンダーからリモートCAL必須です、といわれて詰んだ過去があったからです。とくにSE業務だとWindowsServerは入れても中のアプリやソフトで必要です、と後から言われることが多いので、気をつけましょう。次回はオンプレとクラウド、ADについて書く予定です。宜しくデス!