こんにちは、はじめまして。Kと申します。「ミスターK」とお呼びください。
私、本業はテクニカルライターなのですが、兼業でアプリ開発から小規模オフィスのヘルプデスク、システム管理者など、いろいろと手を出してきました。
早い話が「事務所のIT便利屋さん」だった訳ですが、兼業だけあって、失敗も人並以上にやらかしてまいりました。そうした失敗談を、これからいくつかご紹介していきます。
ただのPC入れ替え案件だったはずが・・・入れ替え案件でネットワーク不良
あれは数年前のこと。
オフィスのクライアントPCを入れ替えたいと、依頼を頂きました。
対象台数は10台未満。作業自体も簡単なもので、ひとりで作業しても1日半で終わるものでした。
あらかじめOSをセットアップしたPCをオフィスに搬入し、既存のPCと入れ替え、ネットワークに接続。
さらに、スタッフさんのPCスキルがあまり高くなかったので、データやアプリの移行、メールアカウントの移行、デジタル複合機の設定まで、懇切丁寧に対応しました。
特に問題が起るはずもなかったのですが・・・。そう、その一言を聞くまでは・・・。
「インターネットが遅い」
「インターネットが遅くて、仕事にならないんだけど」
数日後、作業したオフィスからクレームが入りました。
青い顔して、すぐ飛んでいきましたよね。
現地で確認してみると、確かにウェブページの表示が遅い。ページをリロードすると、数秒経ってからやっと表示される感じです。
先日、設置完了後にテストしたときは、こんなに遅くはなかった。おかしい、こんなはずは・・・。
慌てて、入れ替えたPCのネットワーク設定やブロードバンドルーターの設定を総チェックしましたが、特におかしいところはありません。
もちろんネットワークケーブルも抜けてない。
外向けにpingも通る。
DHCPでIPアドレス振るのをやめて、全部のクライアントに固定でIP振ってみる。それでも改善しない。
エトセトラエトセトラ。
ネットワークのループが起ってるんじゃないかと思って、フロア中のスイッチングハブに刺さっているケーブルを、埃まみれになってチェックもしました。でも問題なし。
あれやこれやとコントロールパネルをいじりまわし、1日たち、2日たっても、さっぱり状況は改善しない。
当然、その間もスタッフさんは作業している訳で、背中に「まだかよ」とちくちく視線を感じます。
状況が改善しないまま、1週間ほど経って、いい加減疲れ果てたころ。
何気ないスタッフさんのつぶやきが耳にとまりました。
「おかしいねー。席替えするまでは、全然問題なくインターネットできてたのにねー。」
ん?席替え?
それ、聞いてないんですけど・・・。もしかして、ネットワークが遅かったのって・・・?
「困ったときにはアプライアンスも再起動」
翌日、お客様のオフィスに伺って提案してみました。
「いったんスイッチングハブを、全部再起動したいんですけど」
仕事が止まってしまうので、スタッフさん達は渋い顔をされていました。
でも繋がらないインターネットにうんざりしていたのでしょう、すんなり提案を受け入れて頂けました。
再起動する時間をスタッフさん達に伝えて、作業を一旦止めていただき、片っ端からスイッチングハブの電源を片っ端から落としていきました。
念のため、スイッチングハブからケーブルをすべて抜き、しばらく放置しました。
そして、おもむろにスイッチングハブの電源を入れていくと・・・
「あ、繋がった」
なんとまあ、あっさりとインターネットに繋がりました・・・。
おそらく、PCを入れ替える前に席替えをしたので、スイッチングハブの経路情報がおかしくなっていたのではないでしょうか。
PCを入れ替えたので、てっきりPCの設定に問題があるのだと思い込み、スイッチングハブのことまで気が回らなかったのがまずかったのだと思います。
1週間、背中にちくちくと視線を感じながら、Windowsのコントロールパネルをああでもないこうでもない、といじくり回したあの時間はなんだったんだろう・・・。
焦るな、慌てるな、自分だけを責めるな
翌日、お客様に、状況が改善したことと、スイッチングハブが原因だと思われます、と報告すると、ありがたーい一言を頂きました。
「でもさそんなの、プロだったら、状況を見れば原因なんてパッと分かるんじゃないの?」
あっ痛い。
確かに。仰る通りです、すみません・・・と笑顔で応じるしかありませんでした。
経験が浅いとか、視野が狭いとか、ヒアリングが足りないとか、色々と至らないところは確かにありました。
でもそれ以上に、当時の私に足りなかったのは、「自分だけが問題の原因とは限らない」という至極当たり前の視点でした。
「ネットワークが遅い」とクレームを頂いたとき、慌ててしまい、「自分が導入したPCに原因があったらどうしよう」と過剰に反応してしまった。
これが視野を狭め、冷静さを失い、柔軟な思考を無くしてしまった、今ではそう思います。
(焦って色々と設定をいじくってしまったのも、かえって状況を悪化させてたのかもしれません)
冷静に考えれば、PCではなくて、スイッチングハブに原因があるかもしれない、ということにはすぐ思い至ってもおかしくありませんでした。
今思い返せば笑い話ですが、当時は必死だったよね、と懐かしく思います。