NOAA-15 APT サ
目次

宇宙から届く天気の写真を自分で受信してみよう!

夏の自由研究のプロジェクトに最適!

宇宙を飛んでいる気象衛星から、リアルタイムで天気の画像を受信する方法を説明します。

完成イメージ:

NOAA-15 APT サンプルデータ 出典: https://noaa-apt.mbernardi.com.ar/ Credit: JKamue

↑これが自分で受信できる画像!雲の動きがはっきり見える

受信を始める前に知っておきたい基礎

難しそうに見えるけど、実は簡単な仕組みです。

1. そもそも気象衛星って何?

一言で言うと:宇宙から地球の写真を撮り続けているカメラです。

  • 高さ:地上から約850km(東京-広島間くらい)
  • 速さ:約90〜102分で地球を1周(新幹線の100倍速い!)
  • 何してる?:雲の写真を撮って、電波で地球に送信

今回受信する衛星:

  • NOAA-15、NOAA-19(アメリカの気象衛星)
  • 24時間365日、写真を送り続けています

↓NOAA-15組み立て中試験機写真

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:NOAA_K_(15)_prior_to_launch.jpg Source: NASA/GSFC

2. 電波って何?なぜ受信できるの?

身近な例で説明:

  • ラジオを聞くのと同じ仕組みです
  • 衛星が「宇宙のラジオ局」、あなたのPCが「ラジオ」
  • 違いは、音楽じゃなくて画像データが送られてくること

覚えておくこと:

  • 周波数:137MHz帯(FMラジオより少し高い)
  • 届く距離:約2000km(衛星が見える範囲)
  • 特別な免許は不要!受信だけなら誰でもOK

3. APT信号って何?

APT = Automatic Picture Transmission(自動画像送信)

簡単に言うと:

  • 衛星が送る「画像専用の電波」のこと
  • 1960年代から使われている歴史ある方式
  • シンプルだから、安い機材でも受信可能!

どんな画像が受信できる?

  • 横幅:約2000km分の範囲
  • 白黒画像(雲は白、海は黒っぽく見える)
  • リアルタイム!今まさに衛星が見ている景色

受信すると冒頭の完成イメージのようなものができます。

4. なぜSDRを使うの?

SDR = Software Defined Radio(ソフトウェア無線)

RTL-SDR Blog V3

普通のラジオとの違い:

普通のラジオ SDR(今回使うもの)
決まった放送局しか聞けない いろんな周波数を自由に受信
音声だけ データも画像も何でも受信
1万円以上 8000円程度

 

5. 受信のベストタイミングは?

成功しやすい条件:

  • 仰角(高さ):40度以上がベスト
    • 90度 = 真上(最高!)
    • 45度 = 斜め上(良好)
    • 20度以下 = 地平線近く(難しい)
  • 時間帯:昼でも夜でもOK
  • 天気:雨でも雪でも受信可能!

よくある勘違い

  • ❌ 「アマチュア無線の免許が必要」→ ✅ 受信だけなら不要!
  • ❌ 「高価な機材が必要」→ ✅ 1万円以下で始められる
  • ❌ 「プログラミングが必要」→ ✅ ソフトの設定だけでOK
  • ❌ 「晴れた日じゃないと無理」→ ✅ 天気は関係なし

6. NOAAシリーズは終盤フェーズ!

⚠️ 注意: 2025 年夏で NOAA-15/18/19APT 送信は段階的に終了予定です。
NOAA-18 は 2025-06-06 に運用停止済み。
NOAA-192025-06-16 18:00 UTC から「End-of-Mission テスト」に入り、APT はいつ停止してもおかしくない状況。
– 後継の JPSS(NOAA-20/21) は X-band 専用の高速リンクのみで、137 MHz 帯の APT は非対応

つまり、137 MHz で気軽に天気画像を受信できる “最後のチャンス”
今年の夏までです。駆け込みで挑戦するなら
NOAA-19 137.100 MHz を最優先ターゲットにしましょう!

※ 今後は Meteor-M2 (137.900 MHz, LRPT) が事実上の
後継遊び場。SatDump などで QPSK デコードを試すと長く楽しめます。

これだけ覚えておけばOK!

  1. 気象衛星 = 宇宙を飛んでる天気カメラ
  2. 137MHz = 衛星が使う周波数(チャンネル)
  3. APT = 画像を送る方式の名前
  4. SDR = パソコンで使える万能ラジオ
  5. 約90〜102分ごと = 衛星が戻ってくる周期(※日本だと一日に2回しか受信できない)

これで準備OK!次は実際にソフトをインストールしていきましょう。

必要なもの(予算:約8000円)

購入するもの(1つだけ!)

  • RTL-SDR受信機セット(約8,000円)
    • おすすめ:RTL-SDR Blog V4(アンテナ付き)
    • Amazonなどで購入可能

無料でダウンロードするソフト

  1. Zadig – 受信機をPCに認識させる
  2. SDR# – 電波を受信する
  3. VB-Cable – 音声を転送する
  4. WxtoImg – 画像に変換する

作業時間の目安:

  • 準備:40分(ソフトのインストール)
  • 受信:20分(衛星が通る時間による)

ステップ1:受信機をパソコンにつなぐ(5分)

1-2. ドライバーをインストール(Zadig使用)

  1. Zadig公式サイトからダウンロード
  2. 起動して「Options」→「List All Devices」にチェック
  3. デバイス一覧から「RTL2832U」を選択
  4. 右側のドライバーを「WinUSB」に変更
  5. 「Install Driver」をクリック

うまくいかない時は:

  • 別のUSBポートに差し直す
  • PCを再起動する
  • USB3.0ではなくUSB2.0ポートを試す(※USB2.0 ハブ(セルフパワー推奨)のものをお願いします。)

ステップ2:受信ソフトSDR#の準備(10分)

2-1. SDR#をインストール

  1. Airspy公式から「SDR# x64」をダウンロード
  2. ZIPファイルを任意の場所に解凍(デスクトップ推奨)
  3. フォルダ内の「SDRSharp.exe」をダブルクリック

起動しない場合:
.NET Frameworkが必要です。Microsoft公式からインストールしてください。

2-2. 音声転送ソフトVB-Cableをインストール

  1. VB-Audio公式からダウンロード
  2. ZIPを解凍
  3. 「VBCABLE_Setup_x64.exe」を右クリック→「管理者として実行」
  4. インストール完了後、PCを再起動

ステップ3:画像変換ソフトWxtoImgの準備(10分)

3-1. WxtoImgをインストール

  1. WxtoImg Restoredからversion 2.10.11をダウンロード
  2. インストーラーを実行
  3. インストール後、デスクトップのアイコンを右クリック
  4. 「プロパティ」→「互換性」タブ→「互換モード」でWindows 7を選択

互換性設定

3-2. 初期設定(重要!)

起動時の設定画面で:

  • City: Tokyo
  • Country: Japan
  • 「Lookup Lat/Lon」ボタンをクリック(自動で座標が入力される)

WxtoImg初期設定

ステップ4:衛星の通過時刻を調べる(10分)

4-1. 通過予測リストを確認

WxtoImgで「File」→「Satellite Pass List」を開く

エラーが出る場合:
衛星データの更新が必要です。以下の手順で解決:

  1. Keplers Updaterをダウンロード
  2. ZIPを解凍し、「Keplers-Updater.exe」をWxtoImgと同じフォルダにコピー
  3. Keplers-Updaterを実行→「Update Kepler Data」をクリック

4-2. おすすめの衛星と周波数

  • NOAA-15:137.620 MHz
  • NOAA-19:137.100 MHz(最も受信しやすい)

ポイント:「Max Elevation」が40度以上のパスを狙うと成功しやすい!

4-3. オンライン予報サイトで二重チェック

WXtoImg のリストだけでも確認はできますが、最新 TLE がまだ反映されていない場合は
以下のサイトで直前確認すると確実だぜ。

  • Heavens-Above – 衛星パス表が見やすく、
    仰角フィルタで 40°以上だけ抽出できる
  • N2YO.com – リアルタイム追跡+スマホ通知。
    『NOAA-19』ページをブックマーク推奨
  • AMSAT Pass Predictions – アマチュア衛星全般を網羅。
    TLEが最速で更新されることが多い
  • SATNOGS Network – 世界各地の実受信ログが
    地図で確認できる。前回パスの信号強度も参考になる
ワンポイント:サイトと WXtoImg の時刻が食い違っていたら、
Keplers Updater が走っていない可能性が高いです。手動で weather.txt を更新をお願いします。

ステップ5:いよいよ受信!(20分)

5-1. SDR#の設定

基本設定:

  • 中心周波数:137.100 MHz(NOAA-19の場合)
  • Demodモード:WFM(ワイドFM)
  • Filter Bandwidth:40000(40kHz)
  • RF Gain:20-30程度から調整

音声出力設定(重要!):

  • Audio Output:CABLE Input (VB-Audio Virtual Cable)
  • Sample Rate:48000

5-2. 受信開始の手順

  1. SDR#で「▶」ボタンをクリック(受信開始)
  2. WxtoImgで「File」→「Record」→「Manual Test」を選択
  3. 衛星が近づくとウォーターフォール画面に信号が現れる
  4. WxtoImgに画像が徐々に描画される!

5-3. 画像の保存

受信完了後:

  • 「File」→「Save Image」
  • 拡張子は.pngまたは.bmpを選択

 

実測:リアル受信デモ(動画)

動画タイトル:NOAA19APT出力映像

概要:自宅ベランダで NOAA-19 の APT 信号を受信。ノイズが多い住宅地という厳しい環境下でも、約 3 分間のデコードに成功した様子を収めています。

  • 受信日時:2025-06-23 21:09 JST
  • 周波数:137.1000 MHz(APT)
  • デコーダ:WxtoImg
  • SDR 環境:RTL-SDR Blog V3 R820T2 + SDR#(WFM+ 30 kHz/ゲイン最大)
  • アンテナ:V ダイポール(ベランダ2階設置)
  • ウォーターフォールでトーンを確認 → 録音開始 → WAV を WxtoImg へ読み込み
  • デコード成功はおよそ 3 分。低ノイズ環境で再挑戦すればさらにクリアな画像が期待できる
ポイント:都市部でも「WFM+」「高ゲイン」で受信は可能。より安定させたいなら公園など電波ノイズの少ない場所で試すのがいいと思います。

トラブルシューティング

画像が出ない場合のチェックリスト

  • SDR#で信号は見えている?→周波数を±10kHz微調整
  • 音声出力は「CABLE Input」になっている?
  • WxtoImgは「Recording」と表示されている?
  • WxtoImgの入力デバイスは「Line 1 (Virtual Audio Cable)」?

ノイズが多い場合

  • アンテナを窓際や屋外に移動
  • RF Gainを下げる(オーバーロード対策)

よくある質問

Q: 衛星はいつ来る?
A: 約90〜102分ごとに地球を一周しています。1日に2回チャンスがあります。

Q: 雨の日でも受信できる?
A: できます!むしろ雲の様子がよく分かって面白いです。

Q: アンテナは付属品で大丈夫?
A: 最初は付属品で十分。慣れたら自作にチャレンジ!

 

次のステップ

受信に成功したら:

  1. 他の衛星(NOAA-15)も試してみる
  2. 自動受信にチャレンジ(WxtoImgのAuto Record機能)
  3. アンテナを自作して感度向上

まとめ

宇宙は、思ったより近い——でも時間はシビア。
8,000円のSDRセットをつないで40分で準備完了。
あとは 『1日たった2回、各10分間』 のウインドウを狙う。
雑音交じりの波形から雲の筋が1本でも浮かび上がった瞬間、今まさに上空850 kmを横切るNOAA-19とリアルタイムでリンクしていることがわかります。
APTが聞ける残り時間はわずか。
この夏、10分の宇宙体験をモノにしない手はない。

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